PROFILE

地域おこし協力隊 飯塚 智崇 さん 
所属地域:矢吹町
着任年月:2019年4月
出  身:神奈川県
活動内容:居場所づくり

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

 赴任前は大学生でした。ロハスや田舎暮らしに憧れを持っていたので、大学卒業後は地域に入り込める仕事がしたいと思い、職を探していました。当初は、鳥獣害関係の仕事に就く予定で、在学中に研修にも参加していたのですが、そこで被害対策に対して農家さんの求める事と、仕事としてやれる範囲や考え方に根本的な相違がある事を知りました。この仕事では地域の中に入り込むどころか、農家さんとの関係性作りが難しいと感じ、どうしようかと悩んでいました。
 大学卒業を間近に控えた12月、進路について相談した方が矢吹町の出身で、ちょうど矢吹町で協力隊の募集を行っているから話を聞いてみない?と誘われたのが協力隊になったきっかけです。

 実は大学で地域おこし協力隊と関わる機会があり、協力隊制度は知っていたのですが、協力隊の大変さや、難しい面も肌で感じていました。そもそも協力隊は社会に出てキャリアを積んで、自分のスキルを活かすのが主流なので、新卒で協力隊になるのは無理だろう、なるもんじゃないと思っていました。しかも、協力隊は3年という任期があるので、その後の進路に迷ってしまうのではないかとも感じていたので、協力隊になるという選択肢は考えていなかったんです。でも、ならないと決めていた協力隊に気づいたらなっていました。笑
「やってやるぞ!」という意気込みで誰も知らない土地に飛び込みました!

Q2.活動内容や今後の目標を教えてください。

  町中に「こかげ」みたいな居場所をつくる活動をしています。

 着任当初は 、町にも若い人が居るはずなのに、どこにいるか、どこで出会えるのかわかりませんでした。そこで協力隊1年目は、矢吹駅前や大池公園などで週末、自分が所有する蔵書を並べて「青空図書館」を行い、来てくれる人を待っていました。

 活動をする中で、学生たちから出かける場所がないという声を聞きました。そこで、町中に待合室のような感覚で使ってもらえる居場所をつくろうと思い、高校生の利用者が多い矢吹駅近くの空き店舗を借り受け、2020年11月に「self space しおりば」をオープンしました。「しおりば」の立ち上げにあたっては約半年の準備期間をかけ、地元光南高校のOB・OGや、日大建築学科の学生、DIYワークショップに参加していただいた一般の方々にも協力していただき、セルフリノベーションで作り上げました。

 「しおりば」の営業時間は16:00~21:00。本を読んだり、コーヒーを飲んだり、勉強したり、気軽に1人の時間を過ごして欲しいと思い、学生は300円で利用できるように設定しました。「しおり」は漢字だと「枝折」と書くんです。もともとは、山で道に迷わない様に、枝を折りながら進んでいったことに由来します。「しおりば」という名前には、迷ったときに戻ってくる場所とか、目印とか、そういう場所になって欲しいという想いで付けました。

 「しおりば」は始まったばかりですが、今後ずっと若者に手を差し伸べ続けられる場所であり、自分自身も悩み多き時期の学生の良き大人であり続けたいと思っています。

Q3.実際に暮らしてみた印象を教えてください。

 着任当初は、地域に受け入れてもらえるのか不安がありましたが、矢吹町の方々は快く受け入れてくれ、温かく見守って応援してくれる方々が多いと感じています。“よそ者”を受け入れてくれる許容があるのが町の魅力だと思います。

 生活していて不便なことは全くありません。駅周辺は町として栄えていますが、駅から車を10分ほど走らせれば、田舎の風景が広がっていて、とてもバランスのいい町です。協力隊任期後も定住し続けたいと思っていて、その準備も少しずつ進めています。
ただ、個人的にはもっと山があると嬉しかったですね。笑 

Q4.応募を検討している方へのアドバイスをください。

 協力隊だからと気負わなくて良いと思います。地域には様々な人が居るので、色々な事を言われます。「地域おこし協力隊」という肩書きだから、「地域全体」を見ないといけない、あれもこれも全部やらないといけないと思いがちです。自分も着任当初はそう思っていました。でも、活動の出発点は「身近なところから」で良いと思います。これは自分が活動で大切にしている事でもあります。
 例えば今年は、コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、飲食店支援として町内のテイクアウト情報をまとめたサイトやチラシを作成し、観光案内所と協力してドライブスルーのイベントを行いました。これもきかっけは、いつも良くしていただいている飲食店さんへの恩返しのつもりで始めたんです。地域の前に、自分のお世話になっている人のために、目の前の人のために始めてみる。自分と地域の接点の中で、自分ができる恩返しが地域おこしにつながると思っています。
協力隊の制度を使ってやるぞ!ぐらいの気持ちで始めてみてもいいと思いますよ。


関連リンク

矢吹町ホームページ
self space しおりば
TOMO-TAKA
私たち、始めました。「矢吹暮らし」