PROFILE |
地域おこし協力隊OB 遠藤 孝行 さん 活動地域:猪苗代町 活動年月:2017年4月~2020年3月 出 身:福島県 |
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Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
私は生まれ育った福島が嫌いで、「田舎だから」という理由で高校生の時からとにかく早く福島を出たいと思い、埼玉の大学に進みました。
そんな福島に対する想いを変えたのは東日本大震災でした。震災が起きた当時、私は大学2年生で、震災の様子を見ても「福島には絶対帰ることはない」と思っていました。しかし、震災からちょうど2年目の時にカナダへ留学をしていたのですが、日本を離れて過ごす中、ネット上に流れる福島に関する色々な情報を見ていて考えが変わりました。「故郷のために自分も何かしなければいけない、何らかの役に立ちたい!」と思ったのです。ただ、「まだ何のスキルもない、まずは社会人を経験して役に立てるようなスキルを身に付けてから帰ろう!」と思い、東京で就職した後、2016年9月に福島市にUターンをして起業しました。
『一般社団法人 福島ブースター』を一人で立ち上げ、子供たち向けのプログラミング学習など教育事業を行っていたところ、ある民間企業から「猪苗代の廃校利活用プロジェクトを手伝ってくれないか」と声をかけられ、猪苗代町と関わるようになりました。そしてそのプロジェクトを手伝っていたら、企業の方から「地域おこし協力隊をやってみないか」というお話をいただいたのです。それまでどんな制度かも知らなかったのですが、応募を決め、2017年4月に猪苗代町の協力隊として着任しました。
Q2.地域おこし協力隊時代の活動内容を教えてください。
協力隊時代の私の担当は主に3つありました。
1つ目は、猪苗代と関わるきっかけにもなった「廃校の利活用」。どんな工事を行うかという調整や、国への提出書類を整えるなど事務的なことも担っていました。
そして2つ目は、「ふるさと納税の促進」です。寄付額を上げるために、返礼品の開発に携わったり、インターネット上の掲載媒体を増やしたりすることで、もともと寄付額が3600万円だったところを1億円までアップさせることが出来ました!その額は今でも維持しています。この分野が自分の力を一番発揮できたかなと感じています。
3つ目は、「水環境保全」で、猪苗代湖の水質悪化を防ぐため、ひしを刈り取る活動や、2市1町(郡山市、会津若松市、猪苗代町)に跨る協議会で事務局や連絡調整係を行っていました。私にとっても環境について考える良い機会になったと思います。
活動拠点は役場で、企画財務課に所属していました。最初は行政の仕組が全くわからず、本当に大変でした。3日で辞めようと思ったくらいです(笑)。ただ、任された仕事を最後までしっかりやり遂げたいという強い思いがあったので、役場内での業務やルールにもどうにか慣れていきながら、3年間活動を全うしました。
そして猪苗代町では副業が可能だったので、行政内での業務だけでなく他のプロジェクトに関わったりする中で、地域内のいろいろな方々と関係性を築くことも出来ました。地域の青年団体や地元の方々と一緒にまちづくりに関わることで楽しく過ごせました。
Q3.現在のお仕事や暮らしについて教えてください。
この地域は魅力的な資源がたくさんあるけど、それがあまり活用されていなかったり、地元の方も「この地域は何もない」といったことを仰っていたり。なので、「この地域はこんなに素晴らしいし、こういうことも出来る!」ということを伝えていきたいと思い、協力隊3年目の7月に『株式会社AWRE(アウレ)』という会社をつくり、現在は現役協力隊も含む4名のメンバーと一緒に働いています。
事業内容は、ホームページやネット販売サイト作成といった「WEB事業」から、ゲストハウスの運営など「観光事業」、そして「飲食店の運営」として町内唯一の焼肉店を事業承継するなど、幅広く携わっています。また、「教育事業」として子供たちのサードプレイス『集まりいな。』を運営し、プログラミング教室やYoutuberスクールを開催しています。今後は、隣接する磐梯町や北塩原村も含むエリアで、観光事業や地方創生事業にも携わっていけたらと考えています。
その他AWREでの仕事以外にも、県内の専門学校でWEB授業の講師を務めたり、デザイン会社でも社外役員として関わらせていただいています。
現在は町内のゲストハウスに住んでいるのですが、仕事をしていくうえでも暮らしていくにも不便なところはなく、むしろ東京に居た頃より良いです!最近はくつろげるカフェも増え、磐梯山や湖を見ながら食事が出来たり、早朝にお寺でヨガをやったり、ふらっと湖に行ったり、夜にスキー場の方に行くときれいな星空や町並みが見えたり・・・そういう時間がとても好きです。
Q4.後輩隊員や応募を検討している方へのアドバイスをください。
協力隊時代は、研修会などで他地域の隊員とつながりを持てたので、他地域の隊員が携わる事業を手伝ったり、近隣の若者で集まったりすることもありましたが、卒隊後はなかなか関わりが少なくなってきました。しかし、現役隊員の皆さんには頑張ってほしいなと思っているので、何かあれば私もサポートしていきたいですし、力になれればと思っています!サイト作成講座など、いつでもご相談いただければと思います。
また、これから応募を検討している方は、ぜひ地域でやりたいことを見つけておくと良いと思います!設定されたミッションだけをやっているとモチベーションが続かないこともあると思うので、活動内でも活動外でも「この地域でこういうことをやってみたい」ということを着任前に考えておくと、地域での活動のやりがいにもつながっていくと思います。
関連リンク
・株式会社AWRE
・一般社団法人 福島ブースター
・『集まりいな』HP/Facebook
・道の旅籠「椿」
・猪苗代町地域おこし協力隊Facebook
*撮影協力*
はじまりの美術館