今回のインタビューは喜多方市地域おこし協力隊の秋山果凜さん・齋藤大輝さんです。

 「会津喜多方漆器」の地域おこし協力隊2期生として漆器を学び、未来へと受け継ぐことをミッションに活動を行うお二人。職人の指導のもと日々、塗りの技術習得に励んでいます。
 日本産の漆液がとても貴重な昨今、喜多方市では漆の木を栽培し「漆掻き(うるしかき)」という作業で原料を採取。喜多方市内の小・中学校の汁椀にこの漆が使われています。
 原料からのものづくりを通して漆と向き合い、これからの漆器産業を担うお二人にお話を伺いました!

(インタビューは動画、文章のどちらでもご覧いただけます。)

PROFILE

地域おこし協力隊
秋山 果凜 さん
 
所属地域:喜多方市
着任年月:2024年4月~
出  身:埼玉県
活動内容:会津喜多方漆器の技術継承、商品開発、情報発信

PROFILE

地域おこし協力隊
齋藤 大輝 さん
 
所属地域:喜多方市
着任年月:2024年4月~
出  身:福島県
活動内容:会津喜多方漆器の技術継承、商品開発、情報発信

Q.地域おこし協力隊になったきっかけを教えてください

(秋山さん)喜多方市では、漆掻きの業務から携わることができるというのが協力隊活動の魅力の1つでした。
 市内で実際、塗師をしてる職人のお二人から技術の講習を受けられるほか、6月~10月に市内の漆林で漆を採取するところから勉強することができるので、普段使っている原料をどのように採取し、加工しているのかを経験できるということで応募しました。

(齋藤さん)私は山形県の大学で漆を学び、卒業後も就職先で漆を扱っていました。
いずれは独立したいと考えており地元である福島県で色々と情報収集をしていた時に、「会津喜多方漆器」の協力隊1期生の先輩と交流があり、現地を見学させてもらいました。
「ここならやっていけるかな」と思い応募しました。

Q.活動の魅力・やりがいについて教えてください

(秋山さん)活動の魅力はやはり「漆掻き」から携われるところです。また、喜多方市の職人さんは若手のやりたいことに関しても親身になって相談に乗って下さり、ずっとやられてきた塗りの仕事以外にも、「こんな事をやってみたい!」と相談をすると一緒に考えて下さるので、そういった距離の近さも活動の魅力の1つだと感じています。

(齋藤さん)新しい技術を身につけたり、自分の技術が上達していくことが楽しかったり、漆掻きを学ぶことができたりする環境が活動のやりがいに繋がっていると思います。


Q.地域での暮らし・地域の方との関わりについて

(秋山さん)「漆器をやるなら茶道も経験しておいた方がいいよ!」と喜多方市の先輩から勧めていただき、日曜日に茶道のお稽古に参加することになったのですが、そこで新たな地域の方との交流が広がりました。また、市内のバーでお会いした方からお声がけいただき、熱気球サークルのお仕事を手伝わせていただく機会を得て、初めて町を上空からフライトする経験をしました!
 喜多方市には、私みたいな外から来たよそ者にも「一緒にやろう!」とオープンな方々が沢山いることが暮らしの安心につながっています。

(齋藤さん)つてがない中で、職人さんが地域の方を紹介してくださったり。また、喜多方市には他の分野で活動している隊員も居るので、協力隊の認知があったことで僕らを受け入れてくださっているのを感じています。
 商品などを店舗に置いていただけることで新しい人脈が広がったり、皆さんの優しさが地域の魅力だと思います。


Q.今後の夢や目標について教えてください

(秋山さん)喜多方市内には展示ができる場所が沢山あり、地域の方々との交流が深いという特色があります。今後はこういった場所で漆器を展示し、作品を通して地域の皆さんとより深い交流ができる機会を作っていけたらいいなと思います。

(齋藤さん)目標の1つに独立があります。一方で協力隊任期中は漆を多くに人に知ってもらえるような普及活動にも取り組んでいきたいと思っています。また、自分の作品を制作し展示も行ってみたいです。



地域の方にお話を伺いました

会津喜多方漆器商工協同組合 塗師 長澤邦夫さん(中央左)、風間正昭さん(中央右)

Q.秋山さん、齋藤さんとの関わりを教えてください

(長澤さん)会津喜多方漆器協同組合で地域おこし協力隊を募集して、組合事業として後継者の育成をしようかというのがはじまりです。将来的に独立するまで3年間ではちょっと短いですが、私と風間さんで頑張って技術を伝えていこうと思っています。

Q.お二人の印象はいかがですか?

(長澤さん)私たちの時代とは全く違うんですね。皆さん大学を出てきているんです。
 風間さんは私より一回り若くて、高校卒業。私は中学校を卒業して会津若松市の工房に弟子入りし、約15年間修業した後、喜多方市へ戻り現在に至ります。風間さんは内弟子として御父さんの後を継いでいます。2人は大学を出ているので、学問的な知識は豊富で私らが教わることがいっぱいあるんです。ただ、仕事の面ではまだまだひよっこですから。これから頑張ってもらって喜多方に残ってもらって、少しでもこの業界に役立つように活動して欲しいと思っています。

Q.お二人へ応援メッセージをお願いします!

(長澤さん)私らが育った時代とは全く時代が変わってしまって、業界はいまどこの産地も職人さんがいなくなってきているんです。そんな中で漆器産業に携わっていきたいと夢を持って喜多方に来たわけですから。私と風間さんで一生懸命教えて、少しでも漆器産業に役立つように頑張って欲しいと思っています。

(風間さん)今は昔みたいに漆器は漆だと言っていないで、化学塗料でも何でも扱えるようになってもらいたいですね。そうじゃないと食べていくのは難しいと思います。
 将来はここに落ち着いてやってもらいたいですね。

関連情報