今回のインタビューは磐梯町地域おこし協力隊の斎藤拓哉さんです。

 空き家対策・移住定住推進担当として空き家に係わる制度の変更や補助金の設置、定住推進における町の政策づくりなど、問題解決のための地ならしを着実に行ってきた斎藤さん。コロナによる任期特例措置(※1)により今年活動4年目を迎え、これまでの役場雇用型から業務委託型に雇用形態を切り替え、起業に向けて準備を始めました。
 移住・転職・結婚・住宅購入・お子さんの誕生・青年会入会&消防団入隊と、この4年で様々なライフイベントを迎えた斎藤さんにお話しを伺いました!

※1 地域おこし協力隊は、おおむね1年以上3年以下の期間、様々な地域協力活動を通じて地域の活性化に貢献する取組であるが、新型コロナウイルス感染症により活動に大きな制約を受け、任期中に十分な活動ができていない、又は任期終了後の起業が遅れている隊員を対象に特例措置が創設された。これにより、令和元年度から3年度までに任用された者に限り、3年を超える地域協力活動を希望し、受入自治体が「任期の延長が必要」と認めた場合には、2年を上限として任期の特例を認めている。

(インタビューは動画、文章のどちらでもご覧いただけます。)

PROFILE

地域おこし協力隊
斎藤 拓哉 さん
 
所属地域:磐梯町
着任年月:2021年4月
出  身:福島県
活動内容:空き家対策・移住定住推進

Q.磐梯町の協力隊になったきっかけを教えてください

 元々は個人事業主として会津若松市でゲストハウスの運営や空き家対策、古道具店の経営を行い、それと兼業で大学の事務員もしていました。自分のライフスタイルとして空き家対策の業務に力を入れたいと思い勉強ができる環境がないかと探していたところ、たまたま磐梯町で空き家対策担当の協力隊を募集していたのを見つけました。
 これはチャンスだと思い、大学の事務員の任期更新のタイミングでもあったので、自分のステップアップのために応募したのがきっかけです。

Q.活動について教えてください

 主な業務のほとんどが空き家対策ですが、今行っている業務では空き家バンクの推進が1番を占めています。

 磐梯町に来た頃、空き家バンクの登録件数は当時1件のみでした。そこから制度の変更や空き家対策に係わる補助金の設置、固定資産税の納税通知の中に啓蒙チラシを同封するなどの活動を進め、結果、現在空き家バンクの登録件数が14件まで増えました。

 それ以外には、移住定住の活動をしています。磐梯町は人気の町ではあるのですが、これまで町全体としての方針が決まっていませんでした。磐梯町は魅力ある町なので、その魅力を移住希望者に伝えたり、定住推進として町のPRを考えて政策をまとめたり、そのPR活動を行ったりしています。それが実を結び、町のHPに「磐梯町 移住定住ガイド」というページができ、今は移住者や移住希望者に町の情報を提供できるようになりました。

Q.活動拠点について教えてください

 空き家対策の部分で、空き家の相談窓口を週2回開催しています。その拠点として『ばんだいナンデモ交流拠点“未日常”』を協力隊業務の一環として設置しました。 元々この場所は町内の自転車屋さんだったのですが、業者を使わず自分の手でリノベーションしました。

 1階は「空き家の相談窓口」と「コワーキングスペース」として活用しています。2階はまだ手付かずですが、今後は体験住宅として、磐梯町がどういう所で、どんな生活ができるのかを体験できるような施設を設置したいと考えています。


Q.活動の魅力・やりがいをどんなところに感じていますか?

 建物を持っている方、土地を持っている方の気持ちや悩みに向き合い、そういったところからしっかりと解きほぐしていかないと空き対策は全然進んでいかないんです。人に寄り添い、町にある不動産をどうやってまた次の人に使っていただけるか、そこまで考えて一緒に走れるのが空き家対策の魅力だと思います。

 そして特に私はそこにやりがいを感じていて、空き家バンクに登録した物件が実際に移住者の方に売れたときのことです。所有者の方がわざわざ“未日常”に来館されて、「あなたのおかげで自分が育った大事な家を次の方に繋ぐことができた」とお礼と感謝の気持ちを言ってくださったんです。
 本当にこの仕事をやっていて良かったなと強く感じました。


Q.家を購入されたそうですが!定住を決めた理由は?

 磐梯町に来て最初に暮らしたのが町営住宅の団地でした。アパートタイプということもあり、なかなか近隣の方とコミュニケーションをとったりすることが想像していたよりも少なかったんです。そんな中で、磐梯町で早く家を買って定住できるようにしたいなと考えて物件を探していました。

 今、活動拠点の“未日常”があるのが大寺五区(おおでらごく)という地域で、ここには「大寺五区青年会」という会があるんです。青年会とは言っても、私よりも遥かに先輩の方々しかいらっしゃらないんですが。笑
 その青年会が大寺五区の地内にある耕作放棄地をみんなで開墾して蕎麦を作り、「極(ごく)蕎麦」として実際に販売したり、飲食店で使っていただいたりしていたんです。しかもその青年会がFaceboookやSNSを自分たちで持っていて、大寺五区の魅力を発信しているのを磐梯町に来るときに見つけて、凄いかっこいいな!と思ったんです。
 「俺の町かっこいいぜ!」とか「俺の住んでいる行政区かっこいいんだぜ!」という所をちゃんとPRしていて、且つそれが活動にまで繋がっていて。「何かこの地域、凄くいいな。かっこいいな。」と思っていたのが元々あったのですが、そんな中物件を探していて、やっと見つけたのが大寺五区の一軒家でした。
 これはもう縁だなと思い。自分が凄くいいなと思っていた地域でもあったので、その一軒家を購入して暮らし始めました。


Q.地域にはどのように溶け込んでいったのでしょうか?

 青年会に誘っていただいて参加しました。最初はどなたが居るかも分からない状態からの移住だったので、まずは青年会のメンバーと酒を飲んで仲良くなりました。すると名前も顔も知れて、どこどこにこういう人がいるよという情報もそこで得ることができたので、地域に溶け込む速さは凄く早かったなと思います。

 青年会も蕎麦だけではなく、「磐梯町でビールを作らないか」と今年は自分からも提案させてもらいました。青年会でホップを作りませんかとお誘いをして、今年はみんなでホップを作りました。そういう関わり方は凄く距離が近くて暮らしやすいところです。

Q.今後のご予定について教えてください

 いま行っている業務で町内に会社を立ち上げ、空き家対策や空き家バンクの推進、町内の空き家調査など、町と一緒に今後も継続して行っていければと考えています。 

 それ以外でも移住定住の方でこれからやっていきたい事としては、“未日常”の建物の2階で移住体験ができるお試し住宅の設置を進めたいと思っています。そして、そこに泊まっていただいた方に町内の農業体験や、日本酒造りの体験など、町の事業者の方々と連携しながら暮らしの体験、仕事の体験を一緒に行っていけたらと考えています。


地域の方にお話を伺いました

磐梯町行政経営課行政経営係 五十嵐 卓さん(右)

Q.おふたりの関係性を教えてください

 私が2024年4月から行政経営課に配属となり移住定住や空き家対策の担当となったので、以前より行政経営課に地域おこし協力隊として配属となっていた斎藤君とペアを組むことになったのがスタートです。
 ただ、以前から私は個人的に町づくりの一環で町の事業に携わっていて、斎藤君はそのコミュニティにも参加していたので面識が全くなかった訳ではなかったのですが、今回改めてペアを組むことになりました。

Q.斎藤さんの印象や人柄について教えてください

 好青年だなという表向きな発言と。笑
 若さもあるので本当に勢いがあるなと感じます。元々、斎藤君も移住組で町外から来てくれて、この町を気に入ってくれてここに住んでいるのもあるので、町に対する想いや、これからこうしていきたいという想いが凄く感じられる青年だなというのが第一印象です。

Q.斎藤さんの活動をどのように感じていらっしゃいますか

 これまで斎藤君が携わって4年ぐらいになりますが、その前までは地方創生、移住定住といったところは全く温度が低くて、全然何も進んでいないというのが正直な現状でした。以降、斎藤君が磐梯町に来てくれて空き家の対策、移住定住の相談窓口といったところで活躍していただいたおかげで、ある程度の道筋はできてきました。まだまだこれからという所はありますが、これから二人三脚で頑張っていきたいなと思っています。

Q.斎藤さんへの応援メッセージをお願いします!

 今となっては一町民となっていますので、引き続き一緒に町を盛り上げて人が集まって、にぎやかなコミュニティができるような町になればいいなと思っています。

 これからもよろしくお願いします!


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