今回のインタビューは元・金山町地域おこし協力隊の稲垣花恵さんです。

金山町地域おこし協力隊としてカスミソウ栽培の農業研修を受けていた稲垣さん。冬の農閑期には町の伝統工芸であるマタタビ細工を学びながら伝統継承活動も行っていました。3年間の活動を終え、今年の春からカスミソウ農家として就農した稲垣さんのハウスの前でお話を伺いました!

(インタビューは動画、文字どちらでもご覧いただけます。)

PROFILE

地域おこし協力隊OG
稲垣 花恵
 さん 

所属地域:金山町
着任年月:2020年1月~2023年1月
出  身:神奈川県
活動内容:カスミソウ栽培と中心とした産業振興

Q.地域おこし協力隊になろうとしたきっかけを教えてください。

地域おこし協力隊になる前は、国際協力を行うNGOでカンボジアの農村地域など発展途上国を支援する仕事をしていました。

その時に、自然に近い暮らしをしている現地の人たちの姿を目にして、都会暮らしをしている自分は彼らに比べると生きる力が弱いと思いました。それで、自分の暮らし方をもう一度見つめなおそうと思い、自分の力を伸ばすためにも田舎ぐらしをやってみたいと思うようになりました。

奥会津については以前より耳にしたことがありましたが、地域おこし協力隊の募集があるのを見て、応募前に実際に訪れてみました。するとここでも、夏は畑仕事があり、田んぼがあり、冬は雪とうまく付き合いながらの暮らしがあり、地域の方々が自然とうまく付き合いながら生活を送っていることがわかりました。

それで、環境もすごく素敵だし、いいなと。金山町での募集内容も、農業を生業にしたいという私の希望にマッチしていたので応募しました。

Q.カスミソウ栽培に取り組んでみていかがでしたか。

金山町でのカスミソウ栽培は、毎年ハウスを立て直すという作業が発生します。通常、ハウスは一度建てたらそのままの状態で作物を栽培していくのが一般的だと思うのですが、この地域では雪が多いためカスミソウの栽培が終わったら雪が降る前にハウスを解体しなければなりません。そして、春になったら再び建て直します。

暑い日の農作業も大変ですが、ハウスを建てるという作業が結構な力仕事なので、最初は私にはハードルが高いと感じました。地域おこし協力隊の3年間の研修中に自分なりのやり方を見い出したこともあって、カスミソウ農家としてスタートを切ることができました。

Q.マタタビ細工のことを教えてください。

もともと金山町で生活のために作っていたマタタビ細工ですが、いまでは都会でも人気があって金山町の作り手さんが作ったものが販売されています。
昔は、男性が作ることが多くて、秋の間にマタタビのつるを採取し、冬に加工、春以降に使うためのザルや籠の製作が生活の一環として行われていました。

いまでもこの地域ではマタタビ細工が大切に使われていて、地元の人の家に行くと、大きなザルなどを見ることができます。マタタビは年数がたつと色が変わるのですが、年数が経っても十分に使える立派なものが出てきて、それはすごく素敵なものだと思っています。

Q.海外での経験を金山町の中高生に伝える活動もされていたとか。

地域おこし協力隊の活動期間中に、金山町の中学校と高校でお話をする機会をいただきました。金山町の子供たちには、町以外の場所へも視野を広げて欲しいという思いがありましたし、実際にそういう場所を訪れることで、自分の住んでいる町への理解もより深まると思うので、そのようなメッセージをできるだけ伝えるよう心掛けていました。

Q.協力隊として地域の方とはどのように関わっていましたか。

いちばん多かったのは飲み会ですね・笑

お酒好きな人も多く、「みんなで飲んでるから来たら?」と声をかけていただけるので、混ぜていただいています。行くといろんな話を聞けるし、私のことも知ろうとしてくださって、仲良くなりました。

あとは、「普請(ふしん)」といって地区の掃除などが定期的にあるので、そこへ参加することで地区の一員として見てもらえたように感じています。

飲み会での楽しい時間だけではなくて、一緒に仕事をすることでより親しくなれたかなという気がしています。


地域の方にお話を伺いました

金山町農業委員会会長の谷ケ城雄司さん(左)と稲垣さん

Q.稲垣さんの印象をお聞かせください。

(谷ケ城さん)私たちの集落は金山町の玉梨という場所なのですが、稲垣さんは地区の飲み会や普請など、積極的になんでも参加してくれています。性格も明るくて我々の希望のような存在の女性です。

Q.次の農業委員に稲垣さんを推薦したと伺いました。

(谷ケ城さん)私の農業委員の任期が終わるタイミングで、次の農業委員として稲垣さんにやってもらえないかとお願いしたところ、2つ返事でいいですとお返事をいただくことができました。これまで金山町では女性の農業委員がいなかったので、稲垣さんに活躍してもらえるのはありがたいことです。

(稲垣さん)まだ農業委員がどういう仕事をするのか、わからないことだらけでいる状態ですが、金山町で農業をなりわいとして暮らしていく女性の一人としてお役に立てればと思っています。谷ケ城さんからお声がけいただいたときに、農業委員には女性もいたほうがいいということを伺い、ぜひお引き受けしたいとすぐに思いました。

ところが、そのタイミングで雄司さんがお辞めになると伺ってちょっと緊張してしまいましたが、お辞めになったあともいろいろと教えていただけると思うので、今は安心して農業委員も務めさせてもらおうと思っています。

Q.谷ケ城さんから稲垣さんへの応援メッセージ

(谷ケ城さん)こんな雪深い金山町に来てもらって、これからも大変だと思いますが、みんなでできる限りのことを応援しますので、長く金山町玉梨地区にいてもらえるようにお願いします。

Q.稲垣さんから地域おこし協力隊を検討中の方へのメッセージをお願いします。

地域おこし協力隊はすごくいい制度だと3年間やってみて感じました。移住をする時に、場所や仕事を探して引っ越しをするのはすごくハードルが高いと思うのですが、地域おこし協力隊は少なくとも3年間安定した暮らしをしながら町に馴染むことができます。
私はこの3年間で町に溶け込みながら、地域の人たちとも信頼関係を築くことができたのでとても良かったと思っています。

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