PROFILE

地域おこし協力隊 石 山 佳 那(いしやま かな)さん
活動地域:浪江町
着任年月:2020年7月
出  身:福島県
活動内容:復興視察ツアー案内など

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

 協力隊になる前は、葛尾村の復興支援員として1年間活動していました。ちょうどその頃に双葉郡8町村で「ふたばエイト」というまちづくり協議会ができたことをきっかけに、8町村のいろんな方とお会いしたんです。いろんな町村のお話を伺う中で、浪江町はフィールドワークや視察、教育旅行などの取り組みにすごく特化していたんです。元々観光とビジネスをシドニーの学校で4年間学んでいたので、その経験を役立てることができたらと思い、浪江町の地域おこし協力隊に応募しました。

Q2.活動内容を教えてください。

 東日本大震災・原子力災害伝承館(以下、伝承館)が行っているフィールドワークのガイドを担当しています。浪江町から双葉町をバスで移動しながら、地域のこと、震災前の様子や震災後のこと、これからのことついて話していきます。

 たとえば浪江町には請戸小学校という津波から全員が免れた学校があるんですが、その子供たちがなぜ助かったのか、また自分たちに置き換えたときにどうしたら助かるのかを考えてもらえるように話しています。伝承館では、振り返り学習として自分の住む地域で同じ災害が起きたらどうするかを考えてもらうワークショップも実施しています。

 やはりせっかく来てもらえたなら、自分事にしてもらいたい。今は日本のどこに住んでいても絶対に災害は起きますよね。たった1時間のフィールドワークに参加しただけだとしても、いざ災害が起きたときに「そういえばあの時こんなこと言っていたな」って思い出してもらえるように、いろいろ学んで持ち帰ってもらえたらという思いがあります。

Q3.活動の中で工夫していること

 ガイドをしていると、同じ内容の話でも学校の特色や民間企業など、参加者によって刺さる部分がちがってくるんです。なので農業に興味がある学生さんには農業関係の話をしてみたり、電力関連の企業さんの場合には、原発関連の話を少し多めにしたりするなど、参加者によって話す内容を少し変えています。

 見た情報をそのまま話すのではなく、そこに住んでいる地域の人の気持ちを伝えられるように、つながりのある地元の方や、各町村のお店で仲良くなった方など、その地域に住んでいる人に直接お話を伺うようにしています。ガイド中に参加者から「この地域の人たちはどう思っているんですか」と聞かれても、何も答えられないという状況にはなるべくしたくないんです。

Q4.大変だったこととやりがいを教えてください。

 私自身は須賀川市出身ですが、高校を卒業してすぐに県外に出ていて、震災当時も東京にいたので福島の震災の経験はなかったんですね。なので、これまで全く縁のなかった双葉郡に来て、人口も事情も全く異なる8町村それぞれの震災当時のことや震災後のこと、その後の変化など、全て頭に入れるのは本当に大変でした。

 被災地域では日々状況が変わっていきます。ちょうど今日も帰還困難区域だったところが入れるようになった地域もあります。毎日状況が変わっていく中で常に新しい情報を把握しなくてはいけないという大変な面もありますが、そうした変化も含めて伝えていくことに、やはりやりがいはあると思っています。参加者の方々から「すごくわかりやすかった」「福島のことを知れてすごいよかった」「泣いてしまいました」といった声を直接いただけるのはとてもやりがいを感じますし、やっていて良かったなと思います。

Q5.応募を検討している方へのアドバイス

 気張らず、自然体で、というのがいいんじゃないですかね。普段から人間関係で悩むことがあまりないので、これといって自分の中で意識していることはないんですけど、基本的に「嫌だったらやめればいいや!」くらいの心構えでいるので、うまくいってるというのはあると思っています。「仕事なんて選ばなければいくらでもあるんだから、嫌な思いしてまで続けることない、それなら自分のやりたいことをやったらいいじゃん」と昔から母に言われていたので。(笑)そのぐらいの心構えでいるほうが心の余裕を持てていいんじゃないかなと思っています。


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東日本大震災・原子力災害伝承館
企画事業部 事業課

鈴木 雄磨 さん

 伝承館は2020年9月に開館した当初からフィールドワークを実施していました。開始した当時は、どんな形で進めていけばいいのか模索している状況でしたが、石山さんには当時から分かりやすい説明でガイドの対応をいただき、我々の不安を吹き飛ばしてくれました。それから徐々にフィールドワークの運用方針について道筋がついてきたと感じています。
 石山さんには、教育旅行から企業の研修まで幅広く対応いただいておりますが、ご自身で収集した情報を、相手に応じて伝わりやすい言葉に落とし込む工夫をしているので、どの参加者からも満足度が非常に高いです。小学生が参加した際も、複雑な説明を理解しやすい言葉で伝えておりました。石山さんには引き続き、この活動を続けていただけたらと思っています。


関連リンク

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