今回のインタビューは福島県避難地域鳥獣対策支援員の若月将平さんです。

 (株)野生動物保護管理事務所に所属し、「福島県避難地域鳥獣対策支援員」のリーダーとして活動を行う若月さん。福島県内の避難地域12市町村(※1)を対象に鳥獣の生息状況や被害のモニタリング調査、鳥獣対策の現地指導など、鳥獣の専門機関と行政・地域の間に立って自治体や地域住民の支援に取り組む若月さんにお話しを伺いました!
※1 田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村

(インタビューは動画、文章のどちらでもご覧いただけます。)

PROFILE

福島県避難地域鳥獣対策支援員
若月 将平 さん
 
所  属:株式会社 野生動物保護管理事務所
着任年月:2020年7月
出  身:山梨県
活動内容:避難地域12市町村における鳥獣被害対策支援

Q.福島県避難地域鳥獣対策支援員 着任のきっかけ

 私は過去に、福島県内の自治体で公務員として勤めていたのですが、その際に町の担当者として鳥獣害対策に係わってきました。
 ただそんな中で、自分の仕事の適性として公務員として幅広い仕事に従事していくことについていけなくなってしまったんです。有害鳥獣害対策支援といった専門的な分野から、過去の自分のように地方公務員として働いている方のお手伝いができればという理由で現職を志望しました。

Q.活動内容について

 原発事故以降、避難のあった12市町村を対象に活動を行っています。福島県避難地域鳥獣対策支援員は6人のチームで1人2つの市町村を担当し、鳥獣害対策のアドバイザーとして主に行政支援をメインで関わらせてもらっています。
 私は現在、南相馬市と双葉町を担当しています。

 私たちはアドバイザーという立場なので、鳥獣被害に対して具体的に手を動かすということも多々あるのですが、どちらかと言うと鳥獣被害に対して「こういった対策をした方が良いのではないか」、「現状を把握したうえでどのような対策をするのか」という内容を市町村の担当者さんに対してアドバイスをさせていただいています。


Q.現在、避難12市町村ではどんな鳥獣被害がありますか?

 近年、豚熱が全国的に流行した事もありイノシシの被害は一旦、自然減少しました。ただその一方で、特に南相馬市や川俣町、飯舘村のような12市町村の北部を中心にニホンザルの被害が多くなってきています。


Q.活動のやりがいについて

 我々の業務は傍から見ると動物の専門家や、動物にかなり詳しい人なんだろうなというイメージを持たれることが多いかと思います。しかし、私自身は公務員として勤めていたということもあり、動物の専門家というほどの人間ではないところがあります。

 ただ、所属している会社自体がかなり動物に詳しい専門家揃いなので、会社の専門家として持っている多くの意見を地域や行政にフィットするような形にして私が出力する。その結果、地域や行政に受け入れていただいて最終的には喜んでいただけるところに、大きくやりがいを感じています。

Q.地域の方との関わりについて

 業務上では行政支援がメインになるので、行政の担当者との関わりが多いのですが、一方で行政支援の一貫として地域での対策という所で顔を出させてもらっています。

 特に南相馬市内の高倉地区では地域の方と一緒に鳥獣害対策の活動をさせていただき、地域の方には非常にお世話になりました。


Q.ライフワークについて教えてください

 食べることが好きなので年に1回、友達を集めて豚の半身を丸焼きにして食べるイベントをしたり、最近はラーメン作りが好きなので、イベントの中で振舞ったりなどを趣味として行っています。
 サウナも好きなので、イベントの中でサウナテントを張ってみんなで景色の良いところでサウナに入ったりもしています。

Q.今後の目標について教えてください

 今、自分自身が鳥獣の専門家というよりは専門家と地域や行政との間のハブになって地域や行政にフィットした対策を提案していく活動がメインになっていますが、そんな中で自分も専門家として少しずつ成長させてもらっている所です。
 今後、独立したいという訳ではないのですが、可能な限り専門家として独り立ちできるようになりたい。自分で対策の方針を軸として持ち、それを地域や行政に向けてフィットさせていくといった活動ができればと思っています。



地域の方にお話を伺いました
南相馬市 農林水産部 農政課 環境整備係 副主査 島健太朗さん(右)

Q.若月さんとの関わり・印象を教えてください

 鳥獣対策の計画の作成であったり、地元住民への鳥獣対策の講習会などで講師を務めていただくなど、様々な場面でご協力いただいています。

 若月さんは人柄も非常にあたりの良い方で、住民への対応などでも親身になってご対応いただけるので、市としても大変助かっています。

Q.若月さんの活動について感じていることを教えてください

 市として、鳥獣対策の計画等の文書作成のアドバイスをいただいたり、実際の現場活動においては市の担当職員だけではどうしても専門的な知見を踏まえての説明が及ばない部分で、支援員さんの知識を活かしながら対策等について具体的な提案等を織り交ぜてご案内いただいています。そういった所が大変助かっています。

Q.若月さんに応援メッセージをお願いします!

 避難地域の市町村においては、やはり住民の方が避難されていて野生動物等が増えた経過もあるので、行政に対してアドバイスをいただけるポジションというのは、非常に貴重な存在だと感じています。

 今後の避難12市町村の取り組み、南相馬市の取り組みについても、支援員さんの専門的なアドバイスや、現場活動でのご協力は必要不可欠な部分と感じています。引き続き市の担当職員と協力いただきながら、鳥獣対策について南相馬市の住民の方のためにも一緒に活動できればと思っていますので、よろしくお願いいたします。

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