PROFILE

地域おこし協力隊OB 大類 日和 さん 
所属地域:田村市
着任年月:2018年7月~2021年6月
出  身:群馬県
活動内容:起業型地域おこし協力隊

Q1.地域おこし協力隊に着任したきっかけを教えてください。

 協力隊になる前は群馬県でweb制作の仕事をしていました。ある時、知人から田村市のデザイン事務所で(株)Shiftの代表である久保田健一さん(以下、クボケンさん)を紹介していただいたんです。クボケンさんは田村市でまちづくりの活動も少しずつ始めていて、ちょうど廃校を活用したオフィス&コワーキングスペース「テラス石森」が立ち上がるタイミングでした。「田村市の地域活性に携わりながら3年後の起業を目指す起業型協力隊の募集が始まるから、やってみないか?」と声をかけていただいたのが着任のきかっけです。面白く生きていきたいし、人生波乱万丈の方が絶対に楽しいと思っているので、移住を決めました。大学生の頃から起業の意思があったので、クボケンさんの下でデザインを教えてもらいながら、3年後にデザイナーとしての起業を目標に協力隊の活動をスタートさせました。

Q2.地域おこし協力隊時代のエピソードを教えてください。

 テラス石森を活動拠点に田村市内のイベントのチラシやポスター制作などを行い、デザインスキルを磨いていました。
 協力隊3年目には、せっかく自分がここに来たからには地域に何かしらのいいインパクトを与えたいなと思うようになり、市内のイベントに顔を出したり、テラス石森を運営する(一社)Switch(以下、Switch)とイベントを企画したりしました。
 コロナ前にはSwitchと共同で、子どもたちがお父さん・お母さんの仕事を実際に体験する「おしごとスイッチ」というイベントを行いました。土木関係の仕事では、コンクリートを使って小物入れを制作してみたり、ショベルカーに乗車して大人と一緒に機械操作をしながらスーパーボルすくいをしてみたり。子どもたちが楽しみながら市内の産業に触れる機会を作り、やりたい事や好きなことを仕事として志してくれたらいいなと思い企画したものです。子どもたちに職業の選択肢を知る機会を提供できれば良いと思ったんです。
 本来の自分の立場や役割を考えて、ここで協力隊をやらせてもらっている価値を提供しようと思えてからは凄く楽しく活動をしていました!

Q3.現在のお仕事について教えて下さい。

 2021年10月に(株)火種を起業しました。仕事はグラフィックデザインや映像制作がメインです。でも、1人で仕事をしてるから、デザイン以外にも包括的に何でもやらないといけないのが実情です。自分一人でできる限界はあるけれど、色々なことに携われるスタイルを楽しみながら取り組めています。紙もwebデザインもブランディングも販路開拓も、相談されれば何でもやります。

 屋号の「火種」には、自分自身から何かを始めてそれを広く伝播できたらという想いを込めています。「火種」には「争いの起こる原因」という意味もあるのですが、自分はアウトローで常に爪痕を残したいと思っているので、そういった強いインパクトのある想いも込めました。常々、現状を変えるには破壊的イノベーションでしか打開できないなと思っているんです。それは地域課題も一緒。でも、自分自身は主役になるようなタイプでもないし、そもそもこの地域からも求められていない。いつかいなくなるかもしれない自分がそれを担っても、地域にとってプラスにならないだろうなと思っているんです。だから自分が地域の人の原動力となるような「火種」となって、この地域の人が自発的に思いを持ってやってくれることが一番いいと思っているんです。でもそれは、瞬間火力的なことではダメだから、そんな仕掛けを仕事とのバランスを取りながら色々と起こしていけたらと思っています。

Q4.今後の目標を教えてください

 目標は2つあります。
 1つ目は、4年後にデザインで生計を立てていられるようになること。
 実は、協力隊を卒隊して法人を立ち上げたタイミングと、田村市が5ヶ年計画の移住事業を始めるタイミングが重なったんです。Switchがその移住事業を受託して、5年間で約130名の移住者を集めることになりました。今はその事業に関わらせてもらっているで、4年後に自走できているのが目標です。5年間で明確な数値目標があるので、そこで実績が残せればと思っています。

 2つ目は、子どもを軸にアクションを起こすこと。「おしごとスイッチ」の企画もそうですけど、地域の子どもたちに新しい選択肢を与えたり、色々なことに触れる機会や取り組みを提供したいと思っています。
 今は、田村市の子どもたちを全員不良にしてやる!って目論んでいるんです(笑)今年、子どもたちに人気のあるカブトムシを題材に、ストリートカルチャーのグラフィティを取り入れたキャップやストラップを試験的に作ってみたんです。田村市は美術館がないし、子どもたちが文化的なことに触れる機会が少ないなと常々感じていて、文化やアートに触れる機会を作ることは自分にもできるだろうなと思い始めたのがきかっけです。自分がデザインしたものを通して「かっこいい!」「楽しい!」と興味を持ってくれたらいいなと思うんです。製品は市内の「ムシムシランド」に掛け合い委託販売をする予定で、子どもたちがグラフィティに興味を持ってストリートカルチャーを知ったら、みんな不良になっちゃうなって思っているんです。(笑)

Q5.応募を検討している方へのアドバイスをください。

 正直、楽しくなかった時期もあったけど、「こんなことがしたいな、やってみたいな」という事を言葉にできたぐらいから楽しくなってきた。だから、漠然とでもやりたい事があると良いんじゃないかなと思います。色々あったけど、3年の任期を満了できたのは自分に根性があったんだと思います。(笑)

 アドバイスはできないけど、自分の体験談は語れるので、話が聞きたかったらここまで来てください。オンラインは嫌いだから直接対面で話しましょう!



令和4年度「地域の担い手文化彩」 動画制作:株式会社 火種


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