PROFILE


復興支援員 山田 美喜雄(やまだ みきお)さん
活動地域:大熊町
着任年月:2021年2月
出  身:福島県
活動内容:地域、避難先コミュニティ支援

Q1.復興支援員に着任したきっかけを教えてください。

 地元新聞社で定年まで勤め、その後、古里の南相馬市へ。就活中におおくままちづくり公社の求人を知ったのがきっかけです。

 東日本大震災時は地元新聞社でHP管理の責任者として勤めていました。地震があった日は新聞が出来上がり、記事をサイトにアップして仕事が終わったところでした。

 当時は新聞社も大変で、大勢の人がいろいろな事情で退職しましたが、自分は福島で働きながら被災地の移り変わりを見ておこうと思いました。

 震災があり、福島の復興のために自分も何かできないかと思っていたので、今現在、大熊町でこうして働けているということはその時の思いを実現できたように思えます。

Q2.活動内容を教えていただけますか?

 大熊町内外にある町民のコミュニティ団体活動のお手伝いをしています。いまは、9月に開催する夏祭りのための協賛金集めや写真撮影をするカメラマン選定の準備に忙しくしているところです。夏祭りでは仮装盆踊りや打ち上げ花火が行われます。大熊町の夏祭りの花火は間近で見ることができてすごい、と最近口コミで広がっているそうで、今年は1,000人の来場者数を目指しています。

 今年1月9日の餅つき大会も大変盛り上がりました。大熊町ではみなさん餅つき大会に対する思い入れが熱く、2日前から準備をしているほどです。こちらではニンニク餅というものがあって珍しいなと思いました。汁粉、あんこ餅、きなこ餅といろいろな種類を用意して、福島大学の学生にも手伝ってもらって300名の来場者に楽しんでいただきました。

 「おおくまコミュニティづくり実行委員会」は、東京電力や建設会社の社員などいろいろな人が加わり、イベント開催を通して大熊町の賑わいを創造しようという目的で作られたもので、BBQや夏祭り、餅つき大会を開催しています。私たち復興支援員は実行委員会の事務局として、企画運営などを行っています。

 また、その他には毎月発行する町の広報誌の取りまとめなど、復興支援員として地域づくりの側面的な役割を担っています。

Q3.大熊町の近況について教えてください。

 今年4月に大熊町の移住定住支援センターがオープン、7月にはその隣にインキュベーションセンター(シェアオフィス)がオープン予定で、大熊町が新しく生まれ変わってきているように思います。「福島イノベーションコースト構想」などの様々な動きもあり、そういった意味で、浜通りは被災の地からチャレンジの地へと移り変わっているように思います。

 また、大熊町を応援する多くの方達の存在も実感しています。大熊町産酒米を使用した日本酒「帰忘郷(きぼうきょう)」をつくるにあたりクラウドファンディングを実施したときには、1か月もたたないうちに目標額を達成することができました。

 今年6月30日には大野駅周辺の下野上、野上地区を中心とした特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。そういったことからも、交流人口が増えていくことが予想され、今後もその弾みとなるような活動をしていきたいと考えています。

Q4.活動のやりがいや魅力をお聞かせください。

 以前より、被災された方達の生の声を聞いてみたいという思いを持っていました。大熊町で震災や避難を経験された方達の声を聞きながら、支援の仕事ができることに魅力を感じています。震災を経験し、生きる希望を見いだせなくなっていた方達がいまはコミュニティ活動をわいわいと楽しんでいる姿に触れ、一緒に事業をやることが魅力です。ここで働いてすごくよくわかったのですが、東京電力の社員もまたつらい体験をされているということです。そういうことも直に触れてよくわかります。

 来てみないとわからないことがたくさんあるので、そういったことがわかっただけでもここで働く意味はあるなと思います。

 また、震災を経験した福島県の人間として、被災地からチャレンジの土地へと変貌している浜通りの移り変わりを目の当たりにできることも、この仕事の意義を感じています。

Q5.今後の展望や目標があればお聞かせください。 

 関東で避難生活を送られている方達に向けた企画があるのでそれを成功させたいと思っています。

 1つは関東に避難しているみなさんが再会できる場として今年12月に東京都で開催する「関東大交流会」です。今年2月に開催予定でしたが、コロナで延期となっていたので、無事に開催できると良いなと思っています。

 もう1つは、町内にできた宿泊施設「ほっと大熊」での交流会です。バスをチャーターして県外に住んでいる町民の方達に来ていただき、様変わりした新しい大熊町を見て、震災からすこしずつ立ち直っている状況を知ってもらいたいと思っています。



関連リンク

大熊町

一般社団法人おおくままちづくり公社

大熊町移住定住支援センター