PROFILE

地域おこし協力隊 植村 明恵 さん 
所属地域:三島町
着任年月:2019年4月
出  身:東京都
活動内容:会津桐タンスの技術継承

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけや、赴任するまで不安だったことを教えてください。

 高校で木工を勉強していたので、それを仕事にしたいと思い就職活動をしていたのですが、「高校生だから」「女の子だから」と断られることが多い状況でした。たまたまインターネットで見つけたのが、会津桐タンスの技術継承で募集している三島町の地域おこし協力隊の記事でした。丁度その1週間後に都内で福島県内の地域おこし協力隊の合同募集説明会があることを知り、話を聞きに行ったのがきっかけです。そこから、とんとん拍子で話が進み、半年後には三島町の地域おこし協力隊として着任しました!

 最初は憧れの一人暮らしにワクワクしていたのですが、いざ引っ越し間近になると、人とのつながりが深い地域の輪の中に自分が入っていけるのか、社会人経験がない自分が本当に行って良いのかという不安が湧いてきました。しかし、着任してみると地域の方がとても優しくて、会う人、会う人に凄く話しかけられて。逆に誰とも話さないことがないくらいです!最初は距離感に戸惑っていましたが、今は通りすがりの人との他愛のない会話が楽しいし、そんな三島町が素敵だなと感じています。

Q2.活動内容を教えてください。

 活動は会津桐タンスの技術継承ですが、時代の流れとともに桐タンスの需要が減ってきているので、主には米櫃(こめびつ)や茶筒、小箱やゴミ箱など、小物類の製作を任せていただいています。桐はとても高級な木材なので、学生の頃は扱う機会がほとんどなかったのですが、今は桐を厳選しながらものづくりができているので、その環境がとても贅沢だと感じています。
 三島町は桐の産地で、工場の周りにも桐林が広がっています。会津の桐は冬の寒さで成長が一旦止まり、ゆっくりと成長するので緻密な木目になります。それを鉋にかけた時の表面の光沢がとても奇麗なのが桐の魅力だと感じています。

 着任して3か月が経ったころ、鉋(かんな)や 鑿(のみ)など自分の道具を一式用意していただいて、全ての刃物を自分で仕込むところから始まったのですが、1、2か月ぐらい、朝から晩まで研ぎ場に立ってずっと刃物を研ぐ日が続きました。なかなか思う様に行かないし、手も荒れてくるし。それが凄くしんどくて。でもそんな時に、先輩方が「良く研げている」と褒めてくれたり、飴をくれたりして。
 製品が完成した時にも必ず先輩に見ていただくのですが、その時間は凄く緊張するんです。狂いはないか、粗はないかを確認いただき、「これでいい」と言っていただけたときは、作っている時の苦労が吹き飛ぶぐらい嬉しい瞬間です。
 私はくじけ易い性格なのですが、とても優しい先輩方に恵まれて活動しています!

Q3.今後の目標を教えてください。

 協力隊任期後も三島町に残りたいと思っていた時に、ご縁があって桐下駄を作っている職人さんに声をかけていただいたんです。その職人の方は、山形県高畠町で桐下駄の製作を行っているのですが、「せっかく地元に恵まれた環境があるんだから、三島町の桐材を使って三島町で製作するというストーリーでやってみたらどうだ」と言っていただけて。任期後は高畠町に定期的に通い、その方の下で教わりながら桐下駄の技術を習得する予定です。

 今後は桐下駄を通して、桐の魅力を伝えていけたら良いなと思っています!

Q4.応募を検討している方へのアドバイスをください。

 私は、地域おこし協力隊の合同募集説明会で、役場の協力隊担当者と直接会って話を聞き、町の写真をたくさん見せていただきながら、特産品や工芸品、冬の会津や雪について色々とお話を伺いました。その後、協力隊希望者に向けた桐タンス工場の見学ツアーで町を訪問し、「ここに住みたい!」というイメージが湧きました。担当者には実際に雪を見た方が良いと言われて、冬にも訪問しています。着任するまでの半年間で、町には3~4回訪れたかと思います。

 私の場合はやりたいことが決まっていたので、三島町と決めていましたが、協力隊になりたいけれど行きたい場所がはっきりと決まっていない方は、色んな町を見てみるのがいいと思います。同じ様な地域でも町によって雰囲気も異なるので、色々見た中で自分に合う町、暮らしを想像できる場所で活動するのが良いかと思います。


協力隊をサポート!
美女帰の里まがた 田舎暮らし 代表 菅家 壽一さん

 三島町の奥地、「間方(まがた)地区」を知ってもらうために、田舎体験を通して文化や風習を伝える活動をしています。明恵ちゃんとの出会いは町内の卓球教室で、そこから棚田の景観を守るために田んぼを手伝ってもらったり、かんじきを作って冬の山歩きに参加してもらいました。
 19歳で桐の工人になりたいと町に来た明恵ちゃんはしっかり者で「三島の桐の華」です。2022年3月で協力隊を卒業した後も、町に残りたいと言ってくれたのは嬉しかったけれど、独り立ちして生活できるかなと心配な面もあります。ここで自立していくのは容易でないけれど、色んな事を駆使して、楽しみながらやってもらいたいと思っています。



関連リンク
三島町ホームページ
会津桐タンス株式会社