PROFILE

地域おこし協力隊 澁 川 絢 有(しぶかわ けんゆう) さん 
所属地域:南会津町
着任年月:2020年4月~
出  身:青森県
活動内容:アウトドア・スポーツツーリズム

Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。

 北海道の大学でアウトドアライフコースを専攻し、アウトドアの基本から応用までを学びました。もともと卒業後は教師になるつもりでしたが、せっかく専門的なことを4年間も学んだので、それを活かせるような仕事がしたいと考えるようになりました。そのことを大学の先生に相談したところ、南会津町に大学の先輩がいるので訪ねてみてはと勧められ、とりあえずよくわからないまま行ってみることにしました。そして、先輩にいろいろな場所を案内してもらっているうちに、「もう、ここに住んじゃいたいな」と思ったんです。ただ、住むことは決めたものの仕事をどうしたらよいかわからなかったので、役場の方にお会いして「アウトドアを活用できるお仕事はないですか?」と聞いたところ、地域おこし協力隊がありますよと教えていただいたので、着任しました。

Q2.着任するまでに不安に感じていたことはありましたか?

 着任まではワクワクしかありませんでした!地域おこし協力隊になる人の中には、地域の人と仲良くなれるかな、馴染めるかなといった心配をする人もいるかもしれないけれど、その辺は謎に自信がありました。ま、住んでみたら、しばらくは寂しくて仕方なかったのですが!(笑)

 ただ、お金のことは不安でした。新卒だったので、どのくらいのお給料で生きていけるかさえもわからなくて。結果的に大丈夫でしたけど。

Q3.実際に暮らしてみていかがでしたか?

 正直、移住してすぐは寂しくて仕方ありませんでした。直前まで大学生だったので、いつでも友達と一緒でしたし。それが急に誰も知らない集落に引っ越して、話す人もいないし、スーパーの場所もわからないし、孤独をすごく感じていましたけど、いつか楽しくなるだろうなと信じていろいろ動いていました。

 そんなある日、仲が良い役場の方から「集落で飲んでいるから来ないか?」と夜中に誘われ出向いたところ、同い年の人達が大集合していたという出来事がありました。その時移住して初めて同い年の人達と会ったんですよ。そこで「えー、同い年じゃん!」と盛り上がり、その日を境に人の輪が一気に広がりました。会って仲良くなるとその人がまた別の友達を呼んできてくれて…という連鎖が生まれ、それ以降はまったく寂しさを感じなくなりました。そこからのつながりで現在の担当者の馬場さんにも出会いました。今の担当者とは先に友達として知り合っていた、という感じです!

Q4.活動内容をお聞かせください。

 今年5月に南会津町に渓流釣りに来る人達が寄り道できる場所として、フィッシングロッジ「SAN rise」を立ち上げました。僕も釣り人なのでわかるのですが、釣り人達って自分の世界観とか、今日の思い出とか過去の栄光とかを共有したい生き物なんです。地元の釣具屋さんとかに用もなく立ち寄って、今日こんなの釣れてさ、とかおしゃべりしているんです。ところが、南会津町は釣りに来る人は沢山いるのにそういう場所があまりなくて、ほとんどの人が釣りだけをして帰ってしまう場所だなと去年強烈に思いました。なので、南会津町に釣りだけをして帰っていた人が、南会津町で釣りをやりつつ何かをして帰る、という仕組みづくりをこの場所を拠点に進められないかなと思ったんです。

 南会津町に釣りに来た人たちが「今日も来たよ」「どうでした?」みたいな話をしたり、「飯どこで食えばいいの?」と相談に来たり、お子さん連れで来て、施設前にある広場でキャンプをしたりできればいいなと思いました。

 南会津町に釣りに来られる方の8割ぐらいは関東からの来訪者で、車中泊で過ごされています。木・金・土の道の駅は車中泊の車でいっぱいになります。去年の夏頃それを見て、ふと「この人たちはどんだけ町にお金を落としてるんだろう?」って思いました。車中泊なので、恐らくご飯はコンビニで、釣りをしたらそのまま帰る。町では環境維持のために渓流の清掃活動や放流などにすごく労力とお金をかけているけれど、それと町に入るお金とのバランスが取れていないなと思いました。なので、その方たちの出費機会を全員ちょっとずつ増やせたらと考えて、僕も同じく釣りバカなので、釣り人が求めているものもなんとなくわかったし、釣りの話もできるし、ガイドもできるし、釣り人が寄れる場所づくりを通して町を元気にしたいと思いました。

Q5.今後の目標があれば教えてください

 今後の目標は卒隊後も継続して収入を得られるようになることです!卒隊後のことを考えて役場にも副業を認めてもらい、グッズを売ったり、渓流ガイドや講師をしたり、現段階でできることをいろいろ探してはいますが、卒隊後も南会津町で生きていくための具体的な方法はまだ見つかっていないので、今後の一番の目標になっています。

 この施設やこれからやろうとしていることなどは僕がやりたかったし、町の利益にもなると思うので、今後も継続していきたいです。

Q6.応募を検討している方へのアドバイス

 可能な限り、着任前に何度も現地を訪問したほうが良いと思います。お世話になるだろうなという人と仲良くなっておくこと。仲良くなっといたほうが、着任後に何かとスムーズです。

 あとは、自分の壁をとっぱらうこと!「こういうタイプは嫌い」とか言わずに「すべてウェルカム!」と最初はしたほうがいいと思います。

 それと、最初から自分がやりたいことだけを優先的に考えるのはやめたほうがいいと思います。最初はすべて勉強、というスタンスで来た方が良いと思います。

 任期前に可能な限り訪れて、一緒にお酒を飲むなりして仲良くなることと、基本的にはよそ者としてそこに入るので、すべてを学ぶ、すべてを吸収するスタンスで生きることが大切かなと思っています。

 

 

 

 

 

 

▲初の活動拠点でのイベント「ゆる~いアウトドアフェスin針生」は地域の方たちのサポートを得て、地域の子供15人、大人15人が参加する大盛況のイベントとなったようです!



協力隊をサポート!
南会津町役場 総合政策課
馬場 貴大 さん

 絢有くんはとても積極的で行動力もあるので、活動に関しては特に心配はしていないのですが、卒隊に向けてビジョンをまだすり合わせ出来ていないので、町としても本人の納得がいくような任期後の姿を一緒に考えていきたいです。残りの1年半の中で、本人がやりたいことと地域資源をどう結びつけていくか共に探れればと思っています。個人的には、活動を通して地域に入り込んでいって、一住民としてこの町に居てくれたら、それだけで嬉しいですね。
 3年後にあんなこともやっておけば良かったと後悔しないように焦らずのびのび絢有くんらしく活動してもらえるよう、私も担当として、「縁をつなぐこと」と「舵取り」の役割でしっかりサポートしていけたらと考えています。




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