PROFILE |
地域おこし協力隊OG |
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Q1.地域おこし協力隊に応募したきっかけを教えてください。
会津若松市内で約7年間、会社員として製造の仕事をしていましたが、転職を考える機会があり友人に相談したところ、「地域おこし協力隊」という制度がある事を教えてもらいました。地域おこし協力隊について調べると、隣町の会津美里町で400年以上歴史のある会津本郷焼のPRと情報発信という活動分野で募集をしていることを知り、応募を決めました。
会津本郷焼は知っていましたが焼き物に関する知識などはほとんどなく、「モノづくりが好き!」という想いだけで飛び込んだので、全てにおいて初心者からのスタートでした。
Q2.地域おこし協力隊時代の活動について教えてください。
ミッションは会津本郷焼のPRと情報発信です。協力隊に着任して最初の頃は各窯元さんからお話を伺ったり、焼き物の特徴を学んだりと本郷焼に関する知識を習得し、SNSで焼き物の紹介やイベントの発信などを行っていました。また、他県の陶産地の視察やPRイベントへの参加など出張にも沢山行かせていただき、様々な場所を訪れることができたのはとても刺激的な経験でした。
協力隊2年目の時には、毎年6月~7月にかけて行われる伊佐須美神社のあやめ祭りで、町の協力隊ブースを出そう!という話が持ち上がりWSを行いました。
本郷地区には「じゃらんかけ」と呼ばれる廃棄された陶磁器のカケラが土の中や水路の底に落ちていて、町の至る所で様々な大きさ、模様の陶磁器のカケラを目にすることができます。以前、地域の方から「じゃらんかけ」を活用できないか?という話を聞いていたこともあり、じゃらんかけを使ったレジンチャーム作りのWSを企画しました。WSは思った以上に反響が良く、じゃらんかけのアクセサリーの可能性を感じました。
その後、ご縁のあった漆職人さんからアクセサリーに適した金継ぎの技法を学び2020年5月、協力隊3年目でじゃらんかけのアクセサリーブランド「TESORO」を立ち上げました。「TESORO」は「宝物」という意味で、「じゃらんかけ」と出会った時に感じた、まるで「宝物」を見つけた時のような感動を届けたいという思いが込められています。
協力隊の任期中にアクセサリーの商品化まで至る事ができたのは、やってみたい!という想いに何でも挑戦するチャンスをくださった、受入団体の会津本郷焼組合のおかげだと思っています。
Q3.現在のお仕事や暮らしについて教えて下さい。
現在は、実家のある会津若松市から会津美里町に通って「TESORO」の活動を行っています。アクセサリー作りは会津本郷焼会館の1室を作業部屋として引き続き使用させてもらっています。「TESORO」の活動をする傍ら、時間の融通が利くようにアルバイトもしていて、会津本郷焼会館でも週に2日働かせてせてもらっています。
正直、卒隊間際まで自分の進路については悩んでいました。就職も考えたのですが、もっと自由に生きていきたいと思っていた一方で、アクセサリー作りは続けたいけれど個人事業主の知識がなかったので、事業として行う事にとても抵抗がありました。しかし、受入団体の松田さんが親身になって相談に乗ってくださり、話を伺ううちに自分にもできるんじゃないかと思えるようになりました。やる!と決めてからは銀行が主催する創業支援セミナーに参加するなどして、起業について学びました。起業を後押ししてくれた様々な方や、環境を整えてくれた周りの方のサポートのおかげで、今があると思っています。
「TESORO」の商品はオンラインショップでの販売の他、福島県内の複数の店舗や都内の店舗からお声がけいただき取り扱ってもらっています。現在、本郷地区の空き店舗を活用した町中再生事業で、町宿・店舗・カフェスペースを併設した場所を作る計画が進んでいるのですが、そこの店舗部分を借り受けお店を持つ予定なので、その準備も進めています。これから工事が始まり、今年中のオープンを目指しています。
Q4.応募を検討している方へのアドバイスをください。
私自身がそうだったのですが、必ずしも協力隊になる明確な目的がなくても良いと思うんです。でも、協力隊は自分自身が変わる大きなきっかけになると思うので、環境を変えて何でも挑戦してみると良いと思います!
私の体験談ですが、協力隊に着任して2、3ヶ月ぐらいの時期に、気持ちがとても落ち込んだことがありました。それまでいた環境とのギャップが大きかったのだと思うんですが、自分の考え方が内向きになり沈んでいたんです。孤独を感じて、協力隊を辞めたいとまで思っていました。そんな時、受入団体に相談したのがきっかけで、会津本郷焼組合の理事長が気にかけて下さり、よく話すようになりました。自分からも積極的にコミュニケーションを取るようになり、その頃から気持ちの向き方が変わっていきました。今は理事長が何でも話せる存在です。
また、協力隊との横のつながりで、みんな抱えている悩みは一緒なんだ!と知る事が出来たのも、気持ちが前向きになったきかっけです。同じ町や県内の協力隊に限らず、協力隊の全国研修では日本各地の様々な協力隊と繋がることができるのでお勧めです!同じ境遇の仲間が居るのは心強いですよ。気持ちの共有ができる存在は大きいと思うので、ぜひ横のつながりは大事にしてくださいね。
協力隊をサポート!柔軟な受入態勢で活動を応援!
会津本郷焼事業協同組合 松田純一さんにお話しを伺いました。
会津本郷焼事業協同組合 松田さん(左)
会津本郷焼の後継者不足という問題解決のため、協力隊制度を活用して技術継承者と情報発信・PRを担う人材をそれぞれ募集しました。
外からの視点で柔軟に情報発信をしてもらいたという想いがあったので、本郷焼を知ってもらうきっかけであれば、どんな形であっても良いと思っていました。様々な取り組みを応援してきた結果、成果として今までの本郷焼には無いアクセサリーという路線で、新たな年齢層にアプローチできています。新たな視点の取り組みがメディアに取り上げられ、本郷焼のPRにも貢献してくれています。
年々、本郷地区への観光のお客さんが目に見えて減ってきている状況なので、未来さんには今後も継続して活動してもらいながら、人の流れを生める楽しい場所を一緒に作っていってもらいたいと思っています。