今回のインタビューは西会津町地域おこし協力隊の渡辺貴洋さんです。

渡辺さんは都市部大学生と町内の集落との交流事業のコーディネートなど、地域密着型の集落支援業務に取り組んでいます。

(インタビューは動画、文字どちらでもご覧いただけます。)

PROFILE

地域おこし協力隊 渡辺貴洋さん
所属地域:西会津町
着任年月:2019年4月
出  身:福島県
活動内容:集落支援

Q.着任のきっかけ

 私が大学 4 年の時に⻄会津町で農都交流というモニターツアーがありまして、そこに参加したのがこの⻄会津町を知るきっかけでした。大学時代は地方公務員を目指して勉強していたんですけれどもそれがダメで、どうしようかと考えた時に協力隊か⺠間企業かという選択肢があったのですが、「⺠間を経験していた方がいいよ」という話しをアドバイスとしてもらっていたので、広告代理店で働いてみたものの地域活動とは離れた分野だったので自分のやりたいことは違うな、と感じていました。
 ⻄会津町ともその時は関わりがあったので町の人にも「どうしようか悩んでいるんですよ」という話しをしたところ、「協力隊という道もあるんじゃないか」というお話しをもらったのがここ⻄会津町に着任するきっかけでした。

Q.活動内容(ミッション)について教えてください

〜「集落支援」とは~

 集落支援についてなんですが、この町だと高齢化率が約 50%で人口の半分くらいは 65 歳以上の方たちが暮らしているんですけれども、集落行事などができなくなりつつあるような状況を集落支援として大学生たちの力を借りてお互いに支え合って地域づくりができる仕組みをつくったり、その他に独居高齢者世帯が増えてきているところの見守りサポートをしています。世間話しというか、元気に暮らしているかどうかの確認は一番最優先にしていますね。 

~集落支援拠点施設『結』について〜

 大学生の力を活用しながら地域活動をしていたんですけども、その交流事業の拠点としての集落支援拠点施設『結』というところを町の方で借りていて、私が管理運営していました。
 『結』の由来なんですけれども、集落にあった相互扶助というか、お互い助け合う文化が元々『結』ということだったんですけれども、高齢化などで人が少なくなっている中で、どんどん文化自体が衰退していってしまったんですが、新しく大学生の拠点として使われるような動きがあったので新しい形で『結』という文化が作れないかと、人と人、人と地域が結び合うような場所ができないかということで私が『結』という名前をつけました。

Q.活動の魅力・やりがいについて

 活動の魅力としては地域の人と触れ合えたり、地域の中だけではなくて外からも大学生とかいろんな人が集まっていくのはすごくやりがいはありますね。地域づくりとよくいわれるますが、それってやっぱり人との関わりが根幹にあるのかなという気がしていて大学生が来る機会が何回かあって、その中で「もっと地域に入りたいんで
す」みたいな話しがあったんですが、その中でじゃあこういう県の方で事業やってるから応募してみないか、みたいな。
 大学生との取組みが集落の人たちにも受け入れられてこうやって活動できているってことが自分としてはやりがいを感じています
 美大生の人たちに“やどりぎ案内”というグループがあるんですけども、その人たちが今年度は屋台っていって移動式の拠点を作りたいという話しはあったのでその制作だったりとか、あとは集落の中にあるシャッターに絵を描くシャッターアートの制作をやっていました。町の人たちの反応は好印象で、若い方たちをすごく来てくれてうれしいだとか「よく来たな」とか笑顔を見せてくれる人が多い印象を受けました。

Q.地域での暮らしについて

~「にんそく」~

 「人足」は集落の共同作業のことをこちらの方でいう言葉なんですけれども、要は春に田んぼに水をひく水路の掃除だったりとか、あとは草刈りだったりとか、そういうものも含めて「人足」ということですね。
 私がやったのが大学 4 年の時にボランティアでやってみないかみたいな話しをされて、じゃあ手伝いますよって言ってみたはいいものの、4 キロも 5 キロも山から水路掃除をしたのがすごく印象的というか、これを毎年やるのかって大変な作業だなっていうのは感じました。
 大変だけど集落の人たちとここはこうだああだ、みたいな話をしながらやっているのはすごく今となっは楽しいですし、人足というか共同作業自体がコミュニケーションをとれる場だなって思ってます。なので人足っていうもの自体も楽しみながらやるっていうのがすごく大事なことなのかなって思っています。 

 

地域の方にお話を伺いました

地域の「お世話役」西会津町集落支援員 岩橋義平さんと渡辺さん

Q.渡辺さんの印象について

 印象は渡辺くんが大学 4 年の時かな。初めて(⻄会津町に)来たのが、農都交流という事業の中で都会から来た人を迎え入れようというようなことで、お手伝いをしていただいたのがきっかけで、その後に今度自分たちで卒論合宿だと言って 1 月の雪のひどい時に来たんですよ。1 週間家に泊まって卒論の論文を書いていた時に、たまたまそのうちの 1 日だけアルバイトのために帰らなきゃならないということで福島市に帰ったんですよ。大雪の時に。帰ったからうちの方にはあと来ないだろうと思っていたら、夜中に来たんですよ。よっぽどこの子は変わってるなっていう風に思ったんですけど、変わってるっていうのはいい意味でね。「大したもんだな、その行動力は」っていう風に思ってたんですね。それがきっかけで渡辺君との交流が始まって 5 年間一緒に付き合ってやってきました。 

Q.若者、協力隊との関わり

 私たちはもうここにどっぷり浸かっているのでその(地元の)良さがわからない。それが若者が入ってきたことによってその良さを世間に出してもらってその若者との交流がどんどん広がるということになってくると、私はものすごく面白いですよ。それが楽しいですし。
 地元にいる人も年寄りの方も自分の孫みたいな友達がいっぱい入ってくることによって楽しく生きられるということで、地元としては協力隊含めて、大学生であってもどんどん入ってきてもらいたいですね。地域おこし協力隊の活動だけでなく、将来の人生設計も含めて相談に乗ってあげられる体制づくりを大切にしています。

Q.渡辺さんへのメッセージ

 今まで地域おこし協力隊として 5 年間、年度末で終わりということで。あとは町の公務員として引き続きこの町にいるわけですけれども、町の行政側に入っても町⺠と仲良くなるということは基本だと思いますので、今まで馴染んできたことを武器に、町⺠の声を吸い上げて町政に活かしていただきたいと思います。

〜最後に渡辺さんから一言〜
(渡辺さん)私自身もこれまでの協力隊で得た経験だったりとか、人とのつながりを大切にしながら今後も町で活動していければなと思ってます。頑張ります。
(岩橋さん)よろしくお願いします。
(渡辺さん)よろしくお願いします。