ふくしまの各地域に移り住み、地域おこし協力隊や復興支援員といった「地域の担い手」として、新たに着任したみなさん。

はじめての地域での暮らしや活動は勇気がいるし、慣れないことも多く、期待と不安が入り混じっているのではないかと思います。

都市部と違い、各地域にはそれぞれの地域社会の特性があります。
まずはそれを理解し、活動地域を知ること、そして地域に溶け込み、行政担当者や地域住民など周りの方々と協働して活動に取り組んでいくことが大切です。

そこで、先輩たちはどのように乗り越えてきたのか、実際に県内で活動する先輩隊員やOB・OGにお話を伺ってみました!

今回の「基本の“キ”」では、地域協力活動の中での企画の立て方や進め方、行政・地域住民との関係づくりのポイントなど、先輩たちの経験談をもとにアドバイスをご紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね!  

 

■広野町 起業型地域おこし協力隊 大場 美奈さん
(活動時期:H31.4月~/着任2年目)

 就職で広野町役場に勤めたことをきっかけに「広野町で地域づくりをしたい」という夢を抱いた大場さん。地域づくり修行のため、山形県南陽市地域おこし協力隊を経て、広野町の起業型協力隊として着任。地域課題解決のための会社設立に向けて奮闘中。現在は「ちゃのまプロジェクト」として人が集まる場所づくりを行う中、多世代交流スペース「ぷらっとあっと」のオープンに向けて動いている。
 協力隊としての経験は4年目となる大場さんに、活動を起こす際の土台作りのポイントを伺いました。

 

どんな地域なのかを知る

 「こんなところに人なんて来ないよ」地域の人から言われた言葉。協力隊となってはじめの頃は、地域の人にも役場の人にも何を言っても相手にされず、他地域の協力隊仲間に愚痴をこぼしたり落ち込んだりする日々もあった。

 周りの人に「協力したい」と思ってもらえるにはどうしたらいいか、住民目線で地域の人が必要としているものは何かを考え、まずは人口密度や学校の有無から、住民同士の仲の良し悪しまで、町を散歩したり地区公民館に行ったりして住民から話を聞き、地域がどんなところなのか、どんなものがあってどんな人がいるのか、とにかく地域を分析した。(実は公民館には情報ツウな人がいることが多い)地域の人と話すうちに徐々に地域の課題が見えてきた。

 

地域の人が必要としていないものは要らない

 当初は広野町で「ゲストハウスを立ち上げる」ことを目指していたが、地域のことを知っていくうちに「気軽に集まれる場所がない」「若い人の第3の居場所がない」など、今置かれている町の課題を知る。そこで、まずは地域の課題を解消するために地域の人が気軽に集まれる場所として「キッチン付きイベントスペースの立ち上げ」を決意。6月から地域住民とともに3~4回ワークショップを実施。また、都内イベントでもプレゼン&場づくりのワークショップを行った。地域内外のいろんな人から意見を聞き、分析することで誰もが集まりやすい場所とはどんなところか、どんなもの・人が必要なのかを具体化していった。

 

オープンマインドでいろんな人を巻き込んでいく

 ひまわりの苗植え作業(山形での活動)のとき、小学校の通学路や公民館の前など、あえて住民が多く通る場所で活動することで「何しているの?」と地域の人に訊かれるように意識していた。「実はこんなことで困っている」と話すと「それなら…」と道具を貸してくれたり、詳しい人を教えてくれたり、活動を「見える化」することで協力者がどんどん集まっていった。

 役場内にも協力者はたくさんいる。部署ごとに誰がどんな業務を担当しているのかを理解しておくと、企画書を通すときにどこから話を通したら良いのかがわかる。(例:耕作放棄地の活用なら農林課の人に聞いてみる)

 新しい企画は、企画内容に関心のありそうな人や仲の良い人から相談するのも良い。役場の人も、地域の人。その地区に住んでいる人に相談してみるのも手。素直に「教えてください」とお願いすれば嫌な顔をする人はいない。忙しそうに見えるときは「今ちょっといいですか?」とクッション言葉をはさむと良い。企画書を提出するときは、いきなり「企画書見てください」と行くのではなく、日報や報告書をあげるときなど、相談しやすいタイミングを見極めることも大事。

 役場内で「町にこんな場所が必要だと思うんですよね」と話したり、FacebookなどのSNSで「こんなことを地域でやりたい」と発信したりと日常的に自分のやりたいことをオープンにしていたことで、協力者を見つけやすかった。

 

 


 

■会津美里町地域おこし協力隊OB・OG 長谷川 竜也さん・祥子さん
(活動時期:H29年4月~R2年3月)

 竜也さんはIターン、祥子さんはUターン。ご夫婦で協力隊に着任し、町の「移住定住コンシェルジュ」として主に空き家バンクの運営や移住希望者に向けた交流イベント・ツアーの企画、移住希望者の相談対応などを行っていた。卒隊後は協力隊時代の経験を活かして一般社団法人TORCHを設立。町の移住定住事業と空き家空き地バンク事業を受託し、「暮らし相談窓口」として引き続き町の力となっている。

 そんなお二人に、活動を進める中でどのように地域や役場と関係性を築き、任期後を見据えて動いていったのかを伺いました。

 

知らないことは、教えてもらう。一人で頑張りすぎない

 1年目は、いろんな地区の行事やお祭りにはできる限り顔を出して地域の人に覚えてもらっていた。いきなり「協力隊としてこんな活動してるんです」と行くよりも「お祭りに興味があって来ました」と会いに行くと「この人は町にちゃんと興味があるんだな、話しやすいな」と思ってもらえる。地域の歴史や文化などの話題は盛り上がりやすい。歴史について下調べしたうえで「昔は~だったんですか?」と聞くと「あんた良く知ってんな!昔はな…」と喜んで教えてくれる。どんな些細なことでも「いいですね」と興味を持って聞くと良い。地区ごとに地域の人から暮らし情報を聞いていたことで、移住相談者に提供する情報も徐々に充実させることができた。

 田舎暮らしに人付き合いは欠かせないところもあるが、相性もあるため無理は禁物。趣味の合う人や話しやすい人を見つけて、自分が無理なく心地良くいられる居場所を作ることも大切。

 役場にデスクを置いていたので、普段から役場内の人とコミュニケーションをとっていた。休憩室での雑談で「こういう企画をやりたいけれど、どうしたらいいと思いますか?」と前向きな姿勢で聞いてみるなど、遠慮せずにコミュニケーションをとると良い。役場の人も地域に対して「行政の仕組みの中にいるからこそ、~ができない」というジレンマを抱えていることもある。「行政ができないこと=協力隊だからこそできること」でもある。役場内で「自分(協力隊)がなぜこの地域に呼ばれたのか」をざっくばらんに聞いてみると地域が求めていることを知るきっかけにもなる。

 はじめは何もわからないのが当たり前。プライドを捨てて知らないことは「知らない」と言う。自分の弱さや腹の内を見せ、「地域のために」と もがいていれば、周りは必ず助けてくれる。困ったときには一人で頑張りすぎずにちゃんと助けを求めることも大事。

 

行政特有の仕組みを理解する

 任期中、地域のお祭り(あやめ祭り)に「会津地域の協力隊ブースを出展する」という初の試みにチャレンジ。前年度の予算組みの時期に合わせて、各所属課長や商工会へ根回しや調整を行い、次年度の4月以降、起案書や企画概要を提出した。さらに企画の運営にあたっては、市町村の垣根を越えて近隣の自治体や協力隊、地域のキーパーソンにも協力を要請した。

 どうしてもお役所は「堅い」「スピード感がない」というイメージがあるが“郷に入っては郷に従え”というように、行政の仕組みに沿って動くとスムーズ。行政の書類は役場の人に聞くのがいちばん!起案書や企画概要などの必要書類を作成するときは、役場の人にアドバイスをもらったり、直してもらったりとたくさん頼っていた。必要書類は役場内の共通言語のようなもの。行政の「堅さ」にある程度合わせて書き直せば、企画内容を理解されやすい。
あやめ祭りの実施スケジュール表
あやめ祭りの実施スケジュール表



任期後の事業化に向けて
 

 任期中は、卒隊後も活動(移住定住事業・空き地バンク事業)を継続していくにはどうしたらいいか、ということを意識していた。会津美里町では、協力隊に対して自己研鑽のための予算があるため、1年目から創業塾に参加したり、資格取得したりと、任期後に役に立ちそうなものをいろいろと学んでいた。2年目以降は、3年目や任期後を見据えたビジョンを共有するため、役場担当者との話し合いをより密にしていった。また、司法書士さんや会津商工信用組合、商工会に相談しながら事業計画書を作成。 3年目は、法人設立に向けて事業内容をより具体化していった。

 空き家の現地調査や地域の人への聞き込みなど、任期中地道にコツコツと続けてきたことをベースに地域の「生きた情報」やこれまで築いてきた人脈を生かして現在の仕事につなげている。

 

つくってみよう!『活動プランニングシート』

今後、地域で取り組んでいきたい活動の具体的なイメージを描いてみるとともに3年間の目標を考えてみよう!


▶こちらから演習用シートがダウンロードできます!
【ふくしまの地域おこし協力隊】活動プランニングシート

その他 参考情報

【担い手の教科書・下】に引き続き、『地域おこし協力隊サポートデスク』の取組みをご紹介!
協力隊サポートデスクでは、協力隊の労務に関するチェックリストや活動表など、実務に役立つ各種資料を、全国の自治体・隊員の取り組みからピックアップして、〈お役立ちツール〉として提供してくださっています!
こちらもぜひご活用くださいね。

・地域おこし協力隊お役立ちツール
https://kyouryokutaioyakudachi.blogspot.com/